黄土高原調査団調査報告
本調査は三菱銀行国際財団の三期に渡る助成のもとに行われたものである。
第一期(1992年7月7日~1994年8月31日)
- 調査メンバー
(所属は当時のもの) - 深尾葉子(大阪外国語大学講師)
井口淳子(大阪大学大学院)
羅紅光(大阪大学大学院)
栗原伸治(総合研究大学院大学) - 中国側協力者
- 常銀章(西安音楽学院外事弁公室)
- 主な調査日程
- 1993年8月7~31日
- 訪問地
- 楊家溝
- 調査の目的
- 人類学、建築学、音楽学、社会言語学等異なる領域と視野を持つ者が、同時あるいは連続的に一つの村にはいることによって、これまでになかった、多面的な、村の生活世界、秩序の構造を描き出すことができるのではないか。しかも、この村は、1940年代を中心に豊富な調査資料のある村で、歴史的変遷を描く条件も兼ね備えている。中国共産党の初期の農村認識にも影響を与えた同村で、こうした共同調査が行われることは、歴史的記録としても、そして特に80年代以降大きな変化の見られる中国農村の変容過程を知る上でも、重要な意味を持つものである。
第二期(1994年9月1日~1996年1月)
- 調査メンバーと役割分担
(所属は当時のもの) - 深尾葉子(大阪外国語大学講師):村落の歴史と社会
井口淳子(大阪大学大学院):民族音楽学・サウンドスケープ
羅紅光(大阪大学大学院):文化人類学(儀礼と交換)
栗原伸治(総合研究大学院大学):民族建築学(村とヤオトンの空間秩序)
胡士雲(大阪外国語大学助教授):社会言語学(方言)
張展鴻(香港中文大学人類学系講師):映像人類学(ビデオ撮影)
宮崎いずみ(大阪外国語大学学生):村の生態環境 - 中国側協力者
- 常銀章(西安音楽学院外事弁公室)
- 調査日程
- 1995年1月26日~9月4日
- 訪問地
- 米脂県楊家溝、横山県一帯
第三期(1996年2月~1998年12月)
- 調査メンバー
- 深尾・井口・栗原
胡士雲
張展鴻 - 調査の概要
- 95年共同調査の補足調査
日本でビデオの編集作業
現地協力者数名を招聘
調査のまとめ作業 - 関連事項
- 1995年 黄土高原文化交流協会発足
2000年4月 深尾・井口・栗原著『黄土高原の村から-音・空間・社会』出版予定
共同調査者の既出文献
井口淳子(大阪音楽大学講師)
- 1992年
- 『中国・西風愁聴―地球の音楽―フィールドワーカーによる音の民族誌62』日本ビクター
- 1996年
- 「中国・黄土高原の村における音文化の現代的変容」『文部省国際シンポジウム「アジア諸民族音楽文化のダイナミズム-伝統と変容」報告書』国立民族学博物館
- 1996年
- 「中国黄土高原・楊家溝村の祈雨調(雨ごい歌)」『東洋音楽研究』第61号
- 1997年
- 「雨を乞ううた-中国・黄土高原の村より」中川真編『小さな音風景-サウンドスケープ七つの旅』時事通信社
- 1997年
- 「中国黄土高原・楊家溝村祈雨調」(周耕訳)『黄鐘』武漢音楽学院報
- 1998年
- 「フィールドワークがもたらした芸能の変容-中国・黄土高原共同調査(1990~1998より」『大阪音楽大学紀要』22号
栗原伸治(日本大学生物資源科学部生物環境工学科助手)
- 1996年
- 「中国陝北における窰洞建設」日中建築技術交流会『日中建築』No.40
- 1996年
- 「中国陝北の住まい」茶谷正洋(編)『住まいを探る世界旅』 彰国社
- 1996年
- 「砂まみれ――はじめての空撮」 日本カイトフォトグラフィー協会『カイトフォトグラフィー』21号
- 1998年
- 「埋もれゆく穴の住まい窰洞:黄土高原の穴居住民:中国」 佐藤浩司(編)『住まいにいきる』(シリーズ建築人類学《世界の住まいを読》④ ) 学芸出版社
- 1998年
- 「建築と文化・社会との相互作用――中国黄土高原の窰洞住居・集落を対象として――」 総合研究大学院大学博士論文
- 1999年
- 「民族建築世界 『民族建築』からの脱皮を目指して」 村松伸(監修)『アジア建築研究 トランスアーキテクチャー/トランスアーバニズム』 INAX出版